「研究概要って何を書けばいいの?」と迷っている理系就活生へ。ポスター形式で差がつく理由と、実際に使ったテンプレを公開します。
就職活動中の理系学生にとって、A4サイズの「研究概要」は重要なアピール資料です。
私自身、就活中に提出した研究概要が評価され、内定につながった経験があります。この記事では、実際に使ったレイアウトや作成のポイントを紹介します。
研究概要の基本構成
研究概要には大きく2つの形式があります:
形式 | 特徴 |
論文形式 | 文字中心。背景・目的・方法・結果・考察の流れで構成。 作製時間が短いが読むのが大変。 |
ポスター形式 | 図やイラストを多用。視覚的に伝えやすく、面接でも説明しやすい。 作製に時間がかかるが伝わりやすい。 |
面接官側の目線に立ってみましょう。
あなたの研究分野に詳しい方もいれば、専門外の方もいらっしゃいます。また、面接官は非常に多忙です。短い時間で大量のES・研究概要を見ています。
ご自身がもし、他分野の研究を短い時間でたくさん聞く立場だとして、視覚的な情報がないと頭に入ってこないのは明確ではないでしょうか?
僕はこの理由から圧倒的にポスター形式派です。
ただし、論文形式の方が読みやすいという方ももちろんいます。
迷う方はどちらも作ってみて、面接を想定したときに自分が話しやすい方を選ぶのがよいかもしれません。
研究概要はどうやって書けばいいの?

研究概要を今すぐ作るのだ!

どうやって作ればいいの~?
とはいえ、研究概要を作れと言われても、どのように書けばいいかわかりませんよね?
ここからは僕の研究概要を例に、作り方を説明していきます。すでに学会発表などを経験している方は、流れはそのままで要点を抽出していく作業になります。
- 役に立つ理由:自分の研究が社会や臨床・産業にどう貢献するのか、どんな課題を解決するのかを一文で言えるようにする。
- 先行研究の位置づけ:主要な論点だけを抽出し、自分の研究がどのギャップを埋めるのかを明確にする(参考文献は末尾に短くリスト化)。
- 伝わる表現:専門用語は初出で簡潔に説明。図・模式図を使って「背景→課題→アプローチ」の流れを一目で示す。
- 面接で効くコアメッセージ:「背景のわかりやすさ」と「研究の意義」を最初の30秒で伝えられるかが勝負です。
- データと解釈を分ける:事実と解釈が混同した表現になっていないか確認する。
事実(データ):疾患モデルマウスに化合物Bを投与したところ、炎症マーカーの血中濃度が有意に低下した。
解釈(仮説):化合物Bには抗炎症作用がある可能性がある - 図表のバランスを整える:画像(顕微鏡写真など)とグラフの比率を整え、凡例・単位・統計処理の有無を明記する。
- 開示範囲を確認する:研究室や指導教員と、社外提出可能なデータ・図の粒度を事前にすり合わせる。
- 誰でも理解できるキャプション:図ごとに「何を示すか」「なぜ重要か」を1~2文で添える。
この時期に研究がまとまる人の方が少ないと思いますので、今後の展望を考えます。
- 目的への道筋:目的達成までの次の一手を具体化(例:疾患モデルマウスの作製→評価系の確立→候補化合物で再現)。
- 応用可能性: 期待されるインパクト(応用分野、スケール、課題と対策)を簡潔に。
- 評価される姿勢: 結果・考察に加えて展望を書くことで、仮説思考と計画性をアピールできます。
ツールと設定:PowerPointなどでA4サイズを指定。余白・段組・カラム幅を整える。
レイアウトを公開します!こちらは僕が実際に企業に提出していたものです。ほとんど学会ポスターの形式ですね。


- 印刷チェック:
実際にA4で印刷し、文字サイズ(最小8~9pt目安)、行間、段ズレ、図の解像度を確認。印刷して回される可能性を想定。情報過多より「要点優先」。 - ビジュアル素材:
研究室共有のアイコン(マウス・細胞・人物)や模式図で統一感を出す。
企業から要求される研究概要の枚数は大体が1-2枚でした。
A4 2枚を作った後に、A4 1枚に絞る作業をすると効率がいいです。
イメージは1枚目を上半分、2枚目を下半分に、データを厳選すればOKです。
- 構成のコツ:伝わりやすさには背景と目的が肝。データは重要かつ苦労が分かるものを。

まとめ:伝える力が研究概要の鍵
研究概要は、単なる研究の要約ではなく、「誰にでも伝わるか」を意識したコミュニケーションツールです。専門外の審査官にも理解されるように、背景・目的・データ・展望を論理的かつ視覚的に整理することが求められます。
特に重要なのは以下の3点:
- 読み手の視点に立つこと
専門用語や図の使い方は、相手の知識レベルを想像して調整する - 事実と解釈を分けること
データが示すことと、そこから導かれる仮説を明確に区別する - 構成とレイアウトにこだわること
A4サイズで印刷したときの見やすさ・流れ・図表の配置まで丁寧に設計する
迷いながら進む就活の中で、研究概要は「自分の考えをどう伝えるか」を磨く絶好の機会です。完成度よりも、伝えようとする姿勢と工夫が評価される場面も多いはず。あなたの研究と人柄・頑張りが、紙面から自然に伝わるような構成を目指しましょう。
おまけ:読み手を想像するためのチェックリスト
✓ ターゲット想定: 専門外の人が読んでも「背景→課題→解決策」が30秒で把握できるか。
✓ 用語の配慮: 略語は初出で定義、専門語は短い言い換えを添える。
✓ 図の自立性: 図だけを見ても要旨が伝わるキャプションになっているか。
✓ メッセージの一貫性: タイトル・目的・結論・展望が同じ一本の主張に沿っているか。
✓ 印刷: A4印刷で視認性・余白・段組に破綻がないか。
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